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点滴で血管に空気混入していても大丈夫?致死量はどれくらい?

点滴で血管に空気混入していても大丈夫?致死量はどれくらい?

 

点滴を打たれている間というのは実に暇なものです。

病院内ですから、スマホをいじるのにも気が引けるし、やることといったら片手で読める文庫本でも読むか、考え事をするか、寝るか、といったところでしょうか。

 

寝られる方はいいのですが、眠くない場合は、ぼーっと天井を見ながら考え事などしたりするものです。

そんなとき、点滴のチューブやチャンバー(ポタポタ薬液が滴下しているところ)を見る方も多いのではないでしょうか。

 

すると、チューブの中に気泡が入っていた・・・なんていうとき、あなたはどう思われるでしょうか?

 

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血管に気泡が入ると死ぬ、という噂の真偽

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どうせ広まるなら正しい噂が広まればいいのですが、得てして噂というものは不正確に伝わるものです。

「血管に空気が入ると死ぬ」という噂もその類で、この噂を知っていたがために、点滴中不安に思われる方も多くいらっしゃるのでは、と思います。

 

結論を先に述べてしまうと、「通常の点滴」で、「気泡」レベルの空気であれば、何も問題はありません。

死んでしまう可能性があるのは、例えば注射器で多量の空気を注射した場合や、動脈に空気を混入した場合です。

 

血管に入った空気の行方

 

では、少々の気泡なら入っても大丈夫、というのはいったい何故でしょうか。

通常、点滴は静脈に針を入れます。

 

ここで仮に気泡が混入したとして、その気泡の行方を見てみましょう。

気泡は静脈の血流に乗って、心臓に向かいます。

 

川というのは、下流に近づくにつれ、色んな川が合流して太くなっていきますが、静脈も同じで、心臓に近づくにつれ、身体の各部位からの静脈がどんどん合流し、どんどん太くなっていきます。

 

よって、この過程では気泡はどこかに詰まることはなく、心臓までスムーズに運ばれてきます。

その後、右心房に入った静脈血は、右心室から押し出され、肺に向かいます。

 

肺というのは、ご存じの通り、ガス交換をしている器官で、毛細血管を蜘蛛の巣のように張り巡らせています。

気泡は、この毛細血管で引っかかります。

 

そして、その後徐々に、血液中に溶け、ガス交換により排出されて、気泡は無くなります。

確かに、一時的に毛細血管が詰まってしまうのですが、肺にある幾千幾万もの毛細血管の内一本が詰まったところで、さして問題はありません。

 

ちなみに、気泡を肺に置き去りにした血液は、肺でガス交換を行い、動脈血として心臓に戻ってきて、また全身に運ばれます。

 

では危険な空気の量はどれほどか?

 

現在までの結論を大雑把に書くと、「気泡レベルなら大丈夫、多量の空気ならヤバイ」・・・となります。

では、点滴のチューブに数cmほど空気の塊があり、それがスーッと流れていって体内に入っていった…なんていう場合はどうでしょうか。

 

実は時々あることです。

見た目では、結構な空気の量が入ったように見えます。

 

しかし、じつは点滴チューブの中は非常に細くなっており(光の屈折で多いように見えるが)、実はチューブ1m分の空気がまとめて体内に入ったとしても、その量は10ml未満です。

そして、明確な安全基準はないのですが、少なくとも静脈にうつ点滴の場合、10ml未満の空気であれば混入しても大丈夫だとされています。

 

基準がないのは、点滴を打つ部位や、その人の循環器系の機能の強弱(既往症や年齢)により変わるためです。

但し、今まで医療現場で起きた空気混入の事例を集めると、10mlはまず安全なラインと言えるようです。

 

100mlを越えると健康な成人でも危険とする専門家の方が多いようです。

ちなみに、血流は強いですので、比較的大きな気泡は、血流に乗っている内に細かい気泡となり、上述したように血液中に溶解し、肺のガス交換で排出される、と考えられます。

 

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そもそも、なぜ血管に空気が入ると危険なの?

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とりあえずこれまでの記述で不安はだいぶ解消されたかと思いますので、そもそもなぜ血管に空気が入ると危険だと言われるのかについて、簡単に触れます。

その理由はずばり、「空気塞栓症」を発症するためです。

 

空気塞栓症

 

空気塞栓症とは、動脈中にある気泡が、重要な毛細血管などを詰まらせてしまい、重要な器官に酸素や栄養が届かなくなることによって様々な障害をもたらし、最悪の場合死に至る病気です。

 

この病気の患者は、ダイバーなど気圧変化の激しい環境にある者が多いです。

この場合、動脈中の気泡は、注射によって注入されたわけではなく、気圧の変化により、いわば「血液が沸騰状態になる」ことによって気泡が内より生ずるのです。

 

どういった原理かは、高校化学などで使う「相図」などを用いて説明できるのですが、ここでは原理を説明するより、似た事象を実際に見て貰った方が早いと思いますので、下記に動画を載せます。

 

 

気圧が急に下がることにより、液体がぶくぶく煮え立つような現象が起こっていますね(動画後半の凍結現象は、人間の体内では起きませんので関係ありません)。

ご注意願いたいのは「動脈で」起こる、というところです。

 

静脈ではどんどん毛管が太くなる、しかも運んでいるのは酸素と栄養を失った廃品回収のような血液です。

しかし動脈では血管は次々分岐し細くなり、運んでいるのは各器官の生命線を担う質の良い血液です。

 

繰り返しになりますが、手術でも行わない限り、動脈に薬液等を注入することはありませんので、通常の点滴ではまず大丈夫と考えられます。

 

幼児や赤ちゃんの場合はどうなのか

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小児の場合、血管の弾力性は高いものの、血管自体は非常に細く、身体が小さいため、血管の長さも短いです。

そのため、成人では安全ラインとされる10mlも、特に赤ちゃんでは致死レベルになりえます。

 

これも明確な基準をお示しすることはできないのですが、医師や看護師もその辺はよく分かっておりますので、成人に対する手順と赤ちゃんに対する手順では、用いる器具や消毒過程なども含め、異なります。

 

…とはいえ、点滴に空気が入っていて気分の良いものではありませんよね。

小さな気泡であれば対処してもらえないかもしれませんが、点滴中に空気の混入に気付いた場合は、遠慮無くナースコールをしましょう。

 

空気抜きの処置ができる場合にはしてもらえます。

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