筋肉が突然ピクピクと引きつるような痙攣(けいれん)を起こす・・・
自分で筋肉を動かしているわけではないから、筋肉の動きを止めようと思っても止まらない。
勝手に動き出す筋肉に不快感を覚えたり、痙攣の度合いによっては痛みを覚えたりする場合もあります。
今回は、比較的軽度なピクピク痙攣についての話です。
なんで勝手に筋肉が動くの!
随意運動と不随意運動
通常、筋肉は脳からの指令を受けて動きます(これを随意運動といいます)。
例えば、喉が渇いたな、と思って目の前にあるコップを取る。
これは完全に自分の意志で可能です。
飲もうと思ったときに、例えば目上の方が喋り始めたら、コップに伸ばそうとした手を咄嗟に止めることも出来ます。
それに対し、ピクピク痙攣している筋肉は、どんなに意識しても、その動きを止めることができません(このような運動を不随意運動といいます)。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
筋肉が固まっていると痙攣を起こしやすい
筋肉は、いつでも脳から随意運動の指令を受けて動けるようにしておかないと意味がありません。
それなのに、例えば筋肉が疲労していたり、同じ姿勢ばかりとっていたりして、筋肉が固い状態になっていると、脳からの指令にスムーズに応えることが難しくなってしまいます。
そこで、いわば強制的に筋肉をほぐそうとして、「痙攣」という形で不随意運動が起こる場合があります。
ミネラル分が不足していると、痙攣を起こしやすい
ところで、随意運動では脳から筋肉に指令が行く、と先ほど言いましたよね。
指令が行く・・って具体的にどういうことでしょうか。
まさか体内を微生物が飛脚のように飛び回って伝令しているわけありません。
ご存じの通り、神経を電気信号が伝わって、その電気信号で筋肉が動くわけです。
この電気信号が伝わる過程は、説明しだすと非常に長くなるので割愛しますが、重要なのは、電気信号を伝えるのに活躍しているのが「ナトリウム」「カリウム」「カルシウム」といったミネラルだ、ということです。
特に現代人の食生活においては、カリウムが不足しがちです(ナトリウムは食塩により摂取されるため、不足することは滅多にない)。
このミネラルが不足したり、ミネラル間のバランスが崩れたりすると、電気信号が上手く伝わることが出来ず、痙攣が起こる場合があります。
ミネラルの不足は、単に栄養が偏っている場合だけでなく、利尿剤などの副作用や、多量の発汗などによっても起きます。
で、これって病気なの?どうすればいいの?
原因は分かったけど、結局病気なのでしょうか。
ピクピクする程度の軽度の痙攣であれば、通常は病気とは考えられません。
多く起こるのが、顔(特にまぶた)や、手足の筋肉ですが、多くの場合は疲れから来ます。
数分で収まるようなら、気にしないのが一番いいでしょう。
特に眼精疲労からまぶたが痙攣する場合は、ゆっくり寝て目を休めるのが一番です。
ドライアイが影響する場合もあるので、眼科を受診するのも良いでしょう。
すぐに収まるけど、最近よく起こる、という方は、カリウムを多く含む食品(海藻など)を多く摂るようにして予防を心がけましょう。
痙攣が起きたときにはじんわり温めてやると、筋肉がほぐれます。
また、ストレッチを行うのも効果的です。
ストレッチのポイントは、ゆっくりじんわり筋肉を伸ばしてほぐすことです。
ふくらはぎによく起こる、という方は多いと思われますが、こちらの動画のようなストレッチがよいでしょう↓
また、その他の要因で起こっている痙攣については、次のようなものがあります。
睡眠時ミオクローヌス症候群
よく、電車の中で寝ている人が、突然ビクッとすることがありますよね。
このように、眠りの浅いときにビクッとなるのが、睡眠時ミオクローヌスです。
通常は問題ないのですが、たまにこれがひどくなり、睡眠障害となる場合があります。
「睡眠時ミオクローヌス症候群」と呼ばれます。
原因不明の場合もあれば、薬の副作用の場合もあります。
腎疾患
腎臓や副腎に疾患がある場合、ミネラルバランスが崩れることがあります。
ミネラルバランスが崩れれば、上述の通り、痙攣が起こりやすくなります。
チック
チックは、子どもによく見られる精神性の症状です(大人でもときどき見ます)。
病気というよりも、症状だと言った方が正確です。
嫌なことがあったらお腹が痛くなったり、試験本番になると朝から下痢をしたりするのと同じように、心の負荷が身体に現れたものがチックです。
よくあるのが顔の筋肉をピクピクさせるものです。
これは、半無意識で行われているため、意識すればしばらく止めることは可能です。
但し、他の考え事をしたりして意識がそれると、また無意識にピクピクとしてしまいます。
また、あまり気にしすぎると症状が悪化することもあるため、チックが現れた場合、まずは放っておくのが一番です。
あまりにひどい場合は、薬が効く場合があるので、神経内科などを受診しましょう。
片側顔面痙攣
中高年の女性によく起こります。
目の回りや頬などが引きつるのが主な症状で、動脈硬化が原因の一つとして考えられています。
受診すべき例
今回は基本的にピクピク痙攣という、痙攣の中では軽度なものについて触れました。
しかし、
- 痙攣発作の時間が長い(数分で治らない)
- 頻度が高い
- 程度が大きい(ピクピクではなくガクガク痙攣)
- 部位が広い(全身性、或いは両腕など)
といった場合には、てんかんや熱性痙攣など、脳に原因がある場合も考えられますので、神経科やかかりつけ医を受診してみてください。