打撲したわけでもないのに、手の甲が痛い・・・。
今回はそんな諸症状について見ていこうと思います。
まず考えるのはスポーツ性外傷
やはりまず考えられるのが、手の甲にある骨(中手骨など)が折れたりヒビが入ったりしていることです。
打撲については、「寝ている間に壁でうった」などがない限り、誰でも「ああ、あのとき打った打撲か」と分かります。
しかし中手骨骨折の場合、一見して分からない理由で骨に異常が生じている場合があります。
例えばよくあるのが、「こけて手をついた」というものです。
このときの衝撃で、骨にヒビが入ったり、折れたりしてしまうのです。
通常、骨折は強い痛みと腫れが特徴ですが、中手骨の場合、腫れが生じない場合もあります。
レントゲンを撮れば一発で分かるため、湿布を貼って数日経つのに痛みがマシにならないときは、整形外科を受診しましょう。
また、打撲や骨折が疑われるときは、すぐにRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)などをしましょう。
RICE処置についての動画はこちら↓
痛いだけでなく、腫れもある
また、子どもによく見られるのが、虫さされです。
例えば毛虫や蜂はもちろん、蚊刺過敏症(ぶんし-かびんしょう)を持つ子は、蚊に刺されただけでも腫れと痒みを通り越した痛みを生じる場合があります。
虫に関連して、大人でもあるのが、寝ている間や庭仕事の際にムカデに咬まれる、という例です。
虫が原因の場合、刺咬した痕が残っているため、皮膚科などを受診すればすぐに分かります(但し、どの虫が原因なのかは、分からないことが多いです)。
その他、稀な例として、蜂窩織炎(ほうか-しきえん)やディートリッヒ病があります。
蜂窩織炎は、小さな傷などから、黄色ブドウ球菌などの細菌が入り込み、内部で化膿する病気です。
皮膚科がベストだと思われますが、整形外科などでも対応してくれるでしょう。
ディートリッヒ病は、未だ全容が解明されていない病気で、指の付け根の骨の部分に血液が上手く回らなくなり、骨が変形してしまうために起こる、痛みと腫れを伴う病気です。
鑑別診断するためには、整形外科でレントゲンを撮ってもらう必要があります。
手の甲にコブができている
それはひょっとすると血管腫かもしれません。
血管腫とは、血管が異常に拡張したり増殖したり、場合によっては腫瘍のようになったものです。
腫瘍と聞くと、「ガン!?」と恐れられる方もいらっしゃるかもしれませんが、通常は良性(ガンではない)場合が多いです。
また、動静脈瘤といって、動脈と静脈が交錯し、コブ状にふくれている場合もあります。
血管腫、動静脈瘤、いずれも痛みがなければ放っておいてもよいのですが、痛みを伴っている場合は、形成外科や皮膚科を受診してみて下さい。
ちなみに、成人男性では、皮下脂肪が少ない方を中心に、通常でも静脈が盛り上がり、コブのように感じる場合があります。
しかし、これは痛みを感じる性質のものではないため、痛みがなければ正常です。
コブのように思われる方もおり、腫れていると感じる方もおられるのが、ガングリオンです。
ガングリオンは、腱鞘や関節包に異常が起きて、中に粘液の溜まった風船のようなものができてしまう病気です。
小さいものは痛みがないことも多いのですが、風船がふくらんでくるにつれ、周囲の組織を圧迫するため、痛みを伴う場合もあります。
この場合、整形外科などを受診すると、風船の中身の粘液を吸い取ってくれるため、痛みがなくなります。
なんだか血管が痛い!?
しかし、血管が膨れることで、周囲の組織を圧迫している場合や、拍動性の痛み(血圧の変化)による痛みの場合、血管が痛いように感じられることがあります。
血管が痛いように感じられる場合には、上述した血管腫や動静脈瘤などの血管奇形が原因の場合があります。