日常生活において、舌の裏を見ることってあまりないですよね。
しかし、違和感があるので何気なく鏡の前で舌の裏を見てみると・・・
舌の裏が黒い!
健康だけど黒い場合
舌の裏をあまり見たことのない方は、健康な舌であっても、心配になるかもしれません。
というのも、綺麗なピンク色に乳白色のコーティング(舌苔)がされている舌の表と違って、舌の裏はなんだかボコボコで、色も一定ではないからです。
特に違和感があるのは、おそらく舌下静脈のある部分でしょう。
黒っぽいような青紫っぽいような色をしていて、舌の筋(舌小帯)の両側に見えます。
結構目立つ静脈なので、これに関しては「舌の裏が黒い!」と不安になる必要はありません。
不健康な黒さ
心配すべき「舌裏の黒さ」は、例えば、舌下静脈以外の部分も含めて全体的に黒い場合です。
この場合は、血中酸素濃度が低下していると考えられます。
心肺機能に異常を持つ方は、血中酸素濃度が低下しやすいですが、この場合は爪の色や唇の色も紫変することが多いです。
次に、全体ではなく、部分的に黒い場合があります。
この場合には「血豆」が出来ていることが多いです。
血豆の見た目は、手足などに出来る場合と同じですので、分かりやすいかと思います。
無理に血豆を潰したりせず、放っておけばそのうち組織に吸収されます。
痛みは数日でとれますが、痛みが長続きする場合やどうしても痛い場合は口腔外科などを受診してください。
舌の裏が白い!
口内炎
舌の裏に白い部分がある・・・というので、最もよくあるのが、「口内炎」です。
口内炎の特徴は、形が円形、或いは楕円形であること、塩辛いものなどが激烈に染みること、1~2週間で、大きさを変えながら治っていくことです。
口内炎にも様々な種類がありますが、最もよく見られるアフタ性口内炎の原因は、ストレスや疲労、ビタミンB2・B6などの不足といった基礎的要因に加え、間違って舌を噛んだ、歯並びが悪い、魚の骨が刺さった、などの物理的要因が加わることです。
次によくある(特に子ども)のが、手足口病などの感染症によって起こる口内炎で、こちらは通常のアフタ性口内炎と違い、口の中に同時多発的に発生することが多いです。
他にも薬の副作用によってアフタ性口内炎が起こる場合もあります。
白板症
次にやや注意すべきなのが、白板症です。
これは、主に、舌に継続的な物理刺激が加わること(多いのが歯並びの悪さ)により発症します。
口内炎に比べ、痛みはマシですが、範囲が広いことがあります。
また、形は口内炎のように分かりやすい形はしていないことが多いです。
白板症の場合、確率は高くありませんが、舌癌に進行する場合がありますので、必ず病院を受診しましょう。
診療科は、歯科、口腔外科、皮膚科などでよいでしょう。
舌癌
癌も、発生する部位により様々な種類がありますが、舌癌はその中でも発症率がかなり低いですので、過度に心配する必要はありません。
舌癌のよくできる部位は、舌の横縁と舌の裏です。
舌癌の特徴は、病変部位にしこりがあることです。
飲酒や喫煙などが要因になるのは当然として、上述の白板症や、白板症に似た色違いの紅板症などから進行的に発症する場合もあります。
確率的には、白板症よりも紅板症の方が癌になりやすいとされています。
顔(頭部)は色んな神経が通っており、どこかのリンパ節に転移されると、途端に手術が難しくなります。
早期発見、早期治療が最重要でしょう。
こちらの記事でも触れていますので興味のある方は合わせてご覧ください。
⇒舌のできものが痛いとき病院の何科に行けばいい?病気の可能性もある?
リガフェーデ症
生後間もない乳児にみられる病気です。
大人では見られませんが、可愛い赤ちゃんについて心配されている方のために簡単に説明しておきます。
通常歯が生えてない段階で歯が生えてしまっているため、舌に負担をかけてしまい、白板症のように白くなります。
歯を少し削ってやることで、自然軽快します。
特に白くも黒くもないが舌の裏が痛い
舌の裏はあまり見た目が綺麗ではないため、初期の口内炎や舌炎の場合、見た目には分からなくても痛い、という場合があります。
また、気付かないうちに細くて小さい魚の骨が刺さっていた場合や、熱傷の場合にも、見た目には分かりづらいですが、痛みがあります。
口の中というのは、うがいや歯磨きをしっかりしていれば、非常に治癒能力の高い空間でもあります。
痛いということは炎症が起きていると考えられますが、通常1週間もすれば炎症はほとんど治まります。
リステリンも早く治すのに効果があると言われています。
一週間経ってもマシにならない、或いは増悪している、という場合には、歯科・口腔外科などを受診してみましょう。