フラッシュバック。
過去にあった嫌な思い出や体験が、急に、ひどく鮮明に思い出される。
あんな思い、一回で十分なのに…。
言葉に尽くせぬリアルな苦しみ。
実際に感じているのは私だけだから、話したってわかってくれるワケがないと思って抱え込んでしまう人もいます。
また、周りの人も苦しんでいるのはわかっていても、どう手を差し伸べていいのかわからないことも多いでしょう。
心の問題には本当によくあることです。
どうしたらいいのだろう。
そんな藁をもすがる思いでこの記事にたどりつかれたあなたに、今から私が全力でアドバイスします。
どうかこの記事が、あなた自身・もしくはあなたの大切な人を暗闇から救う助けになればと願います。
フラッシュバックって?
かつて体験した、どうしようもないほど不快だったり苦しかったりする体験が心に深い傷を残し、その体験が何度も何度も、残酷なまでのリアルさをもって再現される症状を、フラッシュバックといいます。
この体験を「心的外傷(トラウマ)」と呼びます。
体の傷なら痛みが出るだけですが、心の傷となると勝手が違います。
その傷を負った場面、そのときの気持ち、人によっては体の感覚まで鮮明に蘇るのです。
もちろんそれは幻覚なのですが、本当にその場面にいるかのようなリアルなものです。
人によっては錯乱状態になってしまうこともあります。
正気ではいられないのです。
よくフラッシュバックの例で挙げられるのに、戦地から帰られた兵隊さんの話があるのをご存知ですか?
ベトナム戦争から帰ってきた兵が、帰還したあとも戦争のゲームで戦地のことを思い出してパニックになったり、突然戦場の臭いや音が蘇ったりするのです。
それが原因で失踪してしまったり、家族を射殺してしまったり、悲惨な事件がいくつも起きています。
フラッシュバックは病気?
少しお話しただけでも、これは正常な状態ではないということはお分かりいただけたと思います。
なお、フラッシュバックは症状の名前です。
トラウマによりフラッシュバックを始め不安や不眠、恐怖感、抑うつ感などが起こってくる病的状態です。
急性ストレス障害や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)とよばれるものです。
さらに、これに加えその他の精神疾患(うつ病や不安障害)を一緒に持っている場合もあります。
なお、フラッシュバックが起こる原因として、薬物もあります。
ドラッグをずっと使っていた人がそれをやめてしばらく(だいたい一ヶ月以内のことが多いです)すると、いきなりドラッグでみた幻覚がよみがえるのです。
例えばLSDでは、3~4人に1人の使用者にフラッシュバックが起こると言われ、けっこう起こるものなのだということが理解できると思います。
これはストレスや不安、酔っ払っている状態や他の薬物を使っている時などに起こると言われています。
フラッシュバックが起こったら…
まず何よりも、自分自身がフラッシュバックに対してしっかりとした知識を持っておくことが大事です。
フラッシュバックにかぎらず他の症状、例えばパニック発作(呼吸が荒くなって、自分が死ぬのではないかというすさまじい恐怖に襲われるという例がよく挙げられます)などを起こしたとき、自分がそれに対して知識があるかどうかで本当に安心感が違います。
大丈夫、これでは死なない。
そういう自信を持てるからです。
しかし、そうした知識も、自分があわてていたのでは活かせませんから、まずは深呼吸をしましょう。
お腹で息をするイメージで、ゆっくり吸ったり吐いたり。
周りの人は、(本人が嫌がらなければ)体をさすってあげたり、声をかけてあげたりしてください。
治療や予防はできる?
起こってしまったものの対処はできるといっても、本音はもう二度と発作を起こしたくないでしょう。
ここでは、治療や予防についてお伝えします。
ドラッグの使用で起こっているものについては、迷わず精神科(あるいは精神科医が診察を行っている心療内科)の、依存症外来を受診されることが一番です。
その他のトラウマから起こるものに関してですが、これも精神科あるいは精神科医が診察を行っている心療内科を受診してください。
一番いいのは、ゆっくりお話を聞いていただくことでしょう。
あなたの何が発作の原因になっているのか、どうしてそうなっているのかなど、専門の先生ですからしっかりと聞いてくれるはずです。
その会話の中にこそ、いわゆる精神療法の要素が含まれているのです。
何も特別なカウンセリングというようなものではありませんし、それが一番自然な形での診察ですから、安心して受診してください。
しかし精神療法はたいていの場合すぐに効いてなおる、というようなものではなく、漢方でイメージされるように徐々に効くものです。
それまでの間、お薬を併用することになるかもしれません。
抗うつ薬(パキシル、リフレックス、リーゼなど)や、抗不安薬(有名なものではデパス)、眠りに問題があれば睡眠を助ける薬を使いながら、もとの元気なあなたにもどれるようにアシストしてくれます。
心の苦しみは、本人意外にははかりしれないものかもしれません。
ですが、少し話を聞いてあげるだけでも本人はすごくラクになります。
苦しんでいるあなた自身も、周りにきっといるそんな人に頼ってみてください。
無理せず専門家を頼ることも大事です。
まだまだ日本では精神科というと敷居が高いものに思われがちですが、彼ら彼女らは心のスペシャリストなのです。
薬がいやだと思えば、それを伝えれば考慮してくれるはずです。
実際に外国では、ストレスのかかる重職にある方々に専属の精神科医が付き、悩みを相談するということが行われてもいるようですよ。
この記事が、少しでもあなたの心を軽くすることを願ってやみません。