傷口から血が出るのは当たり前。
しかし、その血がなかなか止まらないと焦るものです。
そんな流血について見てみましょう。
血ってなんで止まるの?
簡単に血が止まるまでの仕組みを見てみましょう。
まず、血管が傷つき、血が出ます(いわば、血管に穴が開いた状態)。
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すると、血管が収縮し、血管に開いた穴を少しでも小さくしようとします。
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さらに、「血小板」が傷口に集まってきて、お互いくっつきあって穴を埋めます(一次止血)
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このままの状態だと止血部分が弱く、すぐ再出血してしまいます(いわば、仮止血ができた状態)。
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そこで、血小板などからいくつもの「血液凝固因子」が放出され、それらが連鎖的に化学反応を起こし、最終的にフィブリンポリマーが、仮止血の場所を丈夫にします(二次止血)。
これにて止血完了!というわけです。
ちなみに、この血小板とフィブリンポリマーによって作られたモノが、時間が経つと、「かさぶた」と呼ばれるものになります。
血が止まらない病気
止血のメカニズムが正常に働いていれば、怪我の度合いにもよりますが、通常は10分ほどで血は止まります。
しかし、病気などにより止血のメカニズムに異常をきたしていれば、血は止まりにくくなります。
では、血が止まらなくなる原因にはどのようなものがあるでしょうか?
血小板の数が減る病気
まずは、一次出血が上手くいかない・・・つまり、「血小板の数」が減ってしまう病気を見ていきましょう。
白血病
血液の病気と聞いて、多くの人がぱっと思い浮かべるのが白血病ではないでしょうか。
血液のガン、ともいわれる病気です。
実は、「血小板」を始め、血液中の様々な成分は「骨髄」で作られるのですが、白血病になってしまうと、この骨髄で血液を作る機能が暴走してしまいます。
その結果、血小板の生成量も減ってしまうのです。
そんなわけで、白血病になってしまうと、血が出やすく、止まりにくくなってしまいます。
薬の副作用
血が止まりにくくなる原因として、おそらくもっとも多いのが、薬の副作用でしょう。
「薬剤性血小板減少症」ともいいます。
代表的なのは、スルファ剤、アスピリン、一部の糖尿病の薬などです。
薬のせいなので、服用を中止すれば治りますが、自己判断で薬は止めないで、医師・薬剤師にご相談下さい。
また、抗がん剤や、手術後に利用される血栓をできにくくする薬(ヘパリン)などでも、血が止まりにくくなりますが、これらについては医師から事前に説明があるはずです。
再生不良性貧血
貧血のお持ちの方は、一度きちんと病院を受診しみてください。
貧血に加え、血が止まりにくい、すぐにあざができる、などがあれば、医師に必ず伝えましょう。
再生不良性貧血は、赤血球だけでなく、白血球や血小板の数も少なくなってしまう貧血症です。
そのため、血が止まりにくいなどの症状も出ることがあります。
特発性血小板減少性紫斑病
難しそうな病名ですが、風邪などに続いて、稀に起こる病気です。
自分の免疫が、勘違いを起こして血小板を破壊してしまうため、血小板の数が減ってしまいます。
血小板が減る病気について、全体的に言えるのは、「血が止まらない」という症状を感じる前に、皮下出血が増えることの方が自覚しやすいでしょう。
つまり、「アザができやすい」ということです。
血液凝固因子に異常がある場合
「血友病」です。
血友病は、血小板から放出される「血液凝固因子」の一部が欠落してしまっているため、二次出血が起きず、そのため、一次出血がうまくいっても、再出血してしまいやすい病気です。
こちらは遺伝性であり、通常はこどものうちに判明します。
治療方法は、欠落している因子を投与する方法があり、これにより多くの方が日常生活を送れています。
血が止まらないと感じたときはどうすればいい?
まず、大きな傷・深い傷で出血量が多いときは、急いで外科系の診療科を受診して下さい。
小さな傷であれば、よほど出血量が心配にならない限り、様子見で構いません。
いずれにせよ、「正しい止血方法」を実施しながら、受診なり様子見をして下さい。
止血方法で注意するのは基本的には二つだけです。
動画はこちら↓
圧迫
傷口を清潔なガーゼなどで押さえます。
「ガーゼなどをあてる」のではなく「押さえ」ます。
あまり強く押さえすぎるのもよくないですが、目安としては、「包帯をきつめに巻く」くらいの力です。
もちろん、その場に包帯があるのなら、実際に包帯をきつめに巻くのがよいでしょう。
挙上
傷口を心臓より高いところに持ち上げます。
これにより、傷口にかかる血圧が減るので、血が止まりやすくなります。
※傷口が深く、吹き出るように血が出ている場合は、上記に加え、傷口の心臓よりの部分もきつく縛るとよい、とされています(間接圧迫止血)。但し、30分に一度くらいの割合で、縛りをゆるめないと、逆に壊死が始まってしまうことがあるので、救急車を呼ぶなどして早く受診することが肝要です。
※子どもがよく起こす「舌の裂傷」の場合、最初は血が大量に出るため驚きますが、舌にはそんなに大きな血管はないため、割とすぐ自然に止血されます。