ゲップを人前でするのは失礼。
ゲップなんて出なければいいのに。
・・・とはいえ、逆にゲップが出ないのも苦しいものです。
今回はそんな、ゲップが出てこない苦しいときの話です。
ゲップの仕組み
簡単に言うと、「口から空気を飲み込んでしまい、胃が収縮して溜まった空気を出す」場合と、「胃腸などで発生したガスが胃に溜まり、胃が収縮して溜まったガスを出す」場合があります。
さて、そのゲップが出ないというときに感じるのは、大体「胃から出てこない感じ」か「喉まで来てるのに、そこから出てこない感じ」の二種類でしょう。
それぞれ見てみましょう。
ゲップが胃から出てこない感じ
- 胃の収縮機能が弱まっている
- 胃噴門部(食道と胃の接合部分)に何らかの異常があり、胃から空気が出にくくなっている
の二つがあります。
胃の収縮機能の低下
これには、胃潰瘍や胃炎、胃下垂などがあります。
「胃潰瘍」は、ストレスや暴飲暴食により、胃壁が弱まり胃酸に負けてしまい、結果として胃が傷ついてしまう病気です。
「胃炎」は、胃潰瘍よりはマシな状態で、ストレスや薬の副作用、暴飲暴食で胃壁の防御機能が弱まり、胃が荒れてしまう病気です。
「胃下垂」は、胃を支える筋肉が弱いなどの理由で、胃が通常の位置よりも下に下がってしまう状態です。
また、これ以外に恐ろしいのが、胃がんです。
胃潰瘍を放置しておくと、胃がんに発展してしまう場合があります。
中でも、「スキルス性胃がん」と呼ばれるタイプの胃がんは、進行が早く、胃壁内部でガンが増殖していくため、内視鏡などでも発見しづらく、発見されたときにはあちこちに転移している場合もあります。
特徴は、食事をとれなくなってくること、胃が硬いor重い感覚があること、吐き気、血便(黒色便)などです。
いずれも、心当たりのある方は、内科、とくに消化器内科を受診して下さい。
胃噴門部の異常
これについて考えられるのが、逆流性食道炎、食道アカラシアなどです。
「逆流性食道炎」は、胃から食道へ逆流が起こって炎症を生じる病気です。
食道がどんどんダメージを受けるため、炎症が起こり、その結果、胃からゲップが排出されにくくなる場合もあります。
逆流性食道炎については、こちらの動画もご参照下さい↓。
「食道アカラシア」は、下部食道括約筋という、胃と食道との連動において重要な役割を果たしている筋肉が機能不全に陥る病気です。
その結果、食道の下の部分が狭くなり、胃からゲップが出にくくなります。
また、食道部分(胸の部分)に強い痛みを感じる場合も多いのが特徴です。
これら逆流性食道炎や食道アカラシアが疑われる場合にも、内科、特に消化器内科を受診して下さい。
喉まで来てるのにゲップが出ない
一方で、ゲップが出ないというときには、喉のあたりでガスが止まっている感覚の場合もあります。
そういった場合には、まず気道を広くしてみましょう。
例えば、「頭を後ろにそらし、顎をあげる」或いは「横を向いて、顎をあげる」などの方法があります。
それでも治らない場合は、横になる、ジャンプしてみるなどの刺激で出る場合もあります。
病気が原因の場合、病名としては「咽喉頭異常感症」などが考えられます。
「咽喉頭異常感症」は、別名「ヒステリー球症」ともいわれ、喉の奥に異物感を覚える病気です。
ストレスなど精神面の問題が原因の場合もあれば、実際に喉の奥に炎症などがあり、それが原因の場合もあります。
まずは耳鼻咽喉科を受診するのがよいですが、そこで異常が見つからない場合は、心療内科を受診するのもよいでしょう。
胃もたれ
病気ではありませんが、一番多いのが、胃もたれを原因とする場合でしょう。
この場合、短期的には胃薬を飲むことで解決されます。
中・長期的には食生活の改善が必要でしょう。
肉や脂質、酒類を少なめに、野菜(但し食物繊維は腸内でガスが出来やすいので摂りすぎないように!)をしっかり摂りましょう。
食生活を改善して2週間程度経っても、症状が軽減されない場合には、内科を受診しましょう。
特に吐き気を伴う場合には、胃の機能異常(胃潰瘍など)が疑われますので、1週間続いた時点で受診すべきでしょう。
ゲップについてはこちらにも書いてますので、興味のある方は合わせてご覧ください。