トイレですっきり快便!
という毎日ならいいのですが、残念ながら便を出してもすっきりしないことがあります。
「便を出したのに、まだ出そう・・・。出そうなのに、出ない・・・」
これが「残便感」と呼ばれる感覚です。
残便感の原因
つまり、「実際に便が残っている場合」もあれば、「実際には便が残っていないけど便が残っている感じがする場合」もあります。
まず、実際に便が残っている場合ですが、これには、
- 便通が障害されている
- 蠕動運動の低下
- 排便痛
などの理由が考えられます。
また、実際には残便していないが、残便の感覚だけある場合については、直腸の感覚が鋭敏になっているためと考えられます。
具体的な病名としては?
では、上記のような原因を引き起こす病気にはどのようなものがあるでしょうか?
直腸ポリープ
直腸にポリープができてしまう病気です。
直腸とは、大腸の一番最後、肛門の直前の部分です。
ポリープとは、簡単に言えば出来物です。
ポリープが、大腸内での大便の異動の邪魔になってしまうため、便を出し切ることができず、腸内に残ってしまい、残便感となります。
ポリープ部分の大腸の通り道が狭くなるため、便は細くなる傾向にあります。
大腸内視鏡検査で発見されることが多いですが、場合によっては癌になっていることもあります。
治療は、大腸内視鏡を使った大腸ポリペクトミーや、通常の開腹手術などがあります。
治療してもらうときに、切除したポリープを調べると、悪性(癌)かどうかが分かります。
手術はこんな感じです↓ (血が苦手な方は見ないで下さい)
https://www.youtube.com/watch?v=Y-E8PY8zcoQ
便秘
便秘と言えば、大便が出ない状態だというのはご存じの通りと思いますが、実は大便は「毎日出て当然」というものではありません。
一日や二日なら大便が出なくても、腹痛などの症状が出ない限り、心配ありません。
便秘と判断されるのは、「大便が3日以上出ていない」状態か、もしくは「排便はあるが、残便感がある」状態です。
便秘の原因は、食生活、ストレス、薬剤の副作用などがありますが、いずれにせよ、便が排泄されるまでの時間が長くなってしまうために、便が出にくくなります。
便が大腸内に貯留されている時間が長くなりますので、特徴としては固めの便(兎や鹿の糞のような便など)がでる傾向があります。
治療は、根本原因を取り除く、内服、或いは浣腸などの対症療法などで一時しのぎを行います。
痔
痔にも、「いぼ痔」「切れ痔」「あな痔」などの種類がありますが、ここではひとまずおいておきます。
痔が排便感に繋がる理由としては、痔の痛みのせいで、排便時に力をいれることができなくなってしまい、そのために便を出し切ることができなくなってしまうからです。
痔の治療としては、最終的には手術となります。
便秘などで便が固くなってしまうと、肛門に対する負担も増え、痔の症状が悪化することもあるので、痔と便秘を同時に発症している方は、まず便秘の解消を目指しましょう。
大腸憩室症
大腸憩室症とは、大腸の一部が何らかの原因により、はみ出てしまい、そこに便などが入り込んでしまう病気です。
便が入り込んだところで炎症を起こしてしまった場合には、「大腸憩室炎」といいます。
症状としては、発熱の他に、腹痛、下血などがあります。
場合によっては、大腸憩室に穴が空いたり出血したりすることもあるため、注意が必要です。
発症部位としては、上行結腸(下腹部右側)と、S字結腸(下腹部下側、直腸の手前)によく発症します。
検査は血液検査やCTなどで行えます。
治療は、軽症の内なら薬の内服と食事療法で行い、重症になると手術を行います。
過敏性腸症候群(IBS)
ストレスなどにより自律神経が乱れ、腸の動きが異常になってしまう病気です。
検査では明確な異常が発見されないため、治療も難しい病気です。
症状は下痢型・便秘型・両方が交互に現れる交替型があります。
下痢型の場合、腸の蠕動運動が異常に亢進されてしまい、水分がロクに吸収されないうちに排便されてしまうため、水分の多い下痢となってしまいます。
場合によっては、固形物がない、粘液だけのような便が出ることもあります。
便秘型の場合、腸の蠕動運動が抑制されてしまうため、便秘と同じような症状が出ます。
残便感の解消
残便感の解消には、上記に掲げたような病気を治すことが一番です。
他にも、乳酸菌などで腸内環境をよくする、運動をする、規則正しい生活をするなど、地道な生活改善も重要です。
慢性的な残便感の場合、短期間で解消されることはあまりなく、長期間取り組む必要がありますが、根気よく取り組みましょう。