保育園の子どもはよくお友達と喧嘩をして引っかかれます。
大人でも、飛び出していた釘やネジで引っ掻いたり、飼い猫などに引っかかれたり、というのが時々ありますよね。
そんなひっかき傷、特に顔など表から見えるところに受傷した場合、痕が残らないか不安になるものです。
今回は、そんなひっかき傷を早く治す方法の紹介です。
ひっかき傷が出来てすぐ
ひっかき傷が出来てから、どのような対処をすればいいのか、順を追って見てみましょう。
まずは、ひっかき傷が出来た直後の対処方法からです。
出血しているなら、止血
まず、出血しているなら、清潔な布などで傷口を軽く押さえ、圧迫止血します。
「ひっかき傷」と呼ばれるような傷なら、出血はそんなにひどくないので、すぐに血は止まるでしょう。
傷口を清潔にする
次に、水道水で綺麗に傷口を洗います。
よくティッシュを濡らせて傷口をぽんぽん、とするだけの人がいますが、あれはほとんど意味がありません。
水道水の流水で洗うのが一番です。
とはいえ、ひっかき傷の場合、そんな傷口が泥だらけになったり汚れたりしていることはほとんどないかと思いますので、ここもすんなり終わるでしょう。
(消毒)
10年ほど前なら、傷を負ったら消毒、というのは常識でした。
ところが、上記では「消毒」が括弧付きで「(消毒)」と表記しています。
なぜかというと、近年「湿潤治療」という方法が知られてきたためです。
この湿潤治療についての詳細は下記動画↓をご参照下さい。
「擦り傷を早く治すには?オロナインや絆創膏は禁止?」でも解説していますが、湿潤治療の基本は消毒をしません。
簡単に理由を述べると、「消毒薬は、バイ菌も殺しますが、傷口の細胞も殺すため、傷の治りが遅かったり、跡が残りやすくなったりするため」、そして「傷口表面にいるバイ菌の多くは水道水でちゃんと洗えばほとんどとれる」からです。
ただし、ひっかき傷の場合、「動物に引っかかれた」という場合も多くあるかと思います。
この場合は、念のため、消毒しておきましょう(変な細菌が傷口の奥に残っていたら病気に発展しかねないため)。
なお、消毒は最初にちゃんとしておけば、それ以後は膿んだりしない限り、行う必要はありません。
消毒するたびに傷口が傷ついている、と考えて頂いて結構です。
創傷被覆材の貼付
創傷被覆材、というと少し難しい感じがしますが、キズパワーパッドなど、「傷口にうるおいを保つ」ことを目的とした絆創膏のようなものです。
少しお値段がはるのが難点ですが、これが一番早く、綺麗に治ります。
お安く湿潤治療を行いたい、という場合には、傷口にワセリン(白色ワセリン:薬局で売っています)を塗布し、サランラップで覆う、という方法もあります。
「え?サランラップ!?」と思われるかもしれませんが、火傷の治療などでは病院でもサランラップが用いられるほどですので、ご心配なく。
ひっかき傷が出来てから、傷口がだいたい治るまで
キズパワーパッドなどの商品を買われたら説明書にも書いてあると思いますが、湿潤治療においては、創傷被覆材はこまめに取り替えません。
従来の治療法では、こまめに絆創膏やガーゼを貼り替え、その都度消毒をして・・・ということが多かったでしょうが、傷口のうるおいを保つのがポイントですし、そもそも消毒する必要もないので、絆創膏を剥がす必要性がありません。
傷口の治癒過程を確認するため、一日に一回程度、取り替えたらいいでしょう。
※ 但し、ラップを用いている場合、あせもになることがあるので、特に夏場は昼間に一度ラップを剥がし、傷口周辺の皮膚を綺麗に拭き取るといいでしょう。
一点、要注意なのが、紫外線です。
この治りかけの時期に紫外線が当たると、跡が残りやすくなったり、後々シミなどになりやすくなったりします。
特にラップを用いた場合、透明ですので、上から包帯を巻くなどして、紫外線を防ぎましょう。
傷口がだいたい治ったら
新しい皮膚が薄くはってきて、傷口がだいたい治ってきたな、という頃によいのが、「ヘパリン類似物質」が配合された外用薬(ヒルドイド軟膏、アットノンなど)です。
これは、血行を促進させ、傷口の回復速度を速めてくれます。
「ひっかき傷だいぶ治ったけど跡がなかなか消えないなぁ」なんてときにも使えます。
但し、使うタイミングを間違えると逆効果になってしまうので、傷口がほとんど治ってから使うことを厳守して下さい。
この時期においても、「傷口のうるおいを保つ」「紫外線に当てない」というのは重要です。
ここで油断すると跡が残ってしまいますので、気を抜かずに最後まで治療しましょう!