♪すぐおいしい、すごくおいしい
で有名なインスタントラーメンが世界で最初のインスタントラーメンだと言われています。
1958年、その世界で最初のインスタントラーメンを開発した日清食品は、その製法を独占せずに、他社にも公開したと言います。
その結果、日本のインスタントラーメン業界はますます発展し、1971年には、「お湯を注ぐだけ」という超お手軽な「カップラーメン」が登場します。
開発に成功したのはまたもや日清食品です。
そのお手軽さ故にカップラーメンはどんどん普及し、今では実に多くのカップ麺(カップラーメン、カップうどん、カップそばなど)が販売されています。
カップ麺は身体に悪い!?
ところが、そのカップ麺は身体にあまりよくないもの、とされています。
なぜでしょうか?
まずは、最も分かりやすい、小学校で習った「赤の栄養素、黄色の栄養素、緑の栄養素」で考えてみましょう。
カップ麺の中を思い出してみて下さい。
あるのは、麺、かやく、スープ(粉末または液体)、そして場合によっては調味用の油や辛味成分のものがついていることもあります。
ここから考えると、麺=黄色、かやく=赤、緑、スープ=黄色、調味油=黄色、となっています。
しかし、かやくの量は非常に少ないため、実質、カップ麺の栄養素としてはほとんどが「黄色の栄養素」ばかりとなってしまいます。
これが、「カップラーメンばかり食べていると身体に悪い」という説に対する、小学生でも分かる理由となります。
厚生労働省による栄養摂取基準から考える
現在の日本人の生活から、各種栄養素について必要と思われる量を算定・推定したものとして、厚生労働省から「日本人の食事摂取基準」が発表されています。
その2015年版から、主な栄養素の「推定平均必要量(EAR)」と「目標量(DG)」を下記に挙げます(だいたい壮年期の値を参考にしています)。
後述のカップ麺の栄養素と比較することによって、カップ麺で足りている栄養素、過剰な栄養素、不足している栄養素が分かるでしょう。
ちなみに、「推定平均必要量(EAR)」とは、「半数の人が必要量を満たす量」と定義されています。
分かりやすく言えば、人間それぞれ体格などに差があるので、必要量は異なってくるのですが、だいたい平均的な体格であればこのくらい必要だろう、という量です。
また、「目標量(DG)」とは、「生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量」と定義されています。
- 推定エネルギー必要量:男2350kcal、女2000kcal
- タンパク質:EAR男50g、女40g DG男女共に16.5g
- 脂質:EARなし、DG男女共に25g
- 炭水化物:EARなし、DG男女共に57.5g
- ビタミンB1:EAR男1.2mg、女0.9mg DGなし
- ビタミンB2:EAR男1.3mg、女1.0mg DGなし
- カルシウム:EAR男女共に550mg DGなし
- 食塩相当量:EAR男女共に1.5g DG男8.0g未満、女7.0g未満
その他、食物繊維、ビタミンA・D・E・K・B3・B6・B12・C、葉酸、Mg、微量ミネラルなどが必要栄養素とされています。
一方、カップ麺の栄養素はどんなものでしょうか。
世界で最初のカップラーメンとして名高い「カップヌードル」の標準栄養成分表を下に記します。
- エネルギー:353kcal(めん・かやく335kcal、スープ18kcal)
- タンパク質:10.7g
- 脂質:15.2g
- 炭水化物:43.4g
- ビタミンB1:0.2mg
- ビタミンB2:0.22mg
- カルシウム:95mg
- 食塩相当量:4.8g(めん・かやく2.3g、スープ2.5g)
カップ麺は一食分であることを考えると、カップ麺で充分といえる栄養は、脂質、炭水化物、食塩、の三つだけと言えます。
逆に、これら三つの栄養素については、「一日三食全てをカップ麺」にしてしまうと、過剰に摂取してしまうことにもなります。
一方で、ビタミンやミネラル、タンパク質など多くの栄養素はカップ麺では全く量が足りません。
カップ麺の「身体に悪い」説は、この栄養の偏り具合にあるといえます。
ちなみに、添加物や、容器(発泡スチロール)の溶出といった点を不健康の理由と挙げる人もいますが、これらについてはきちんと厚生労働省の基準で定められていますので、そこまで心配しなくともよいでしょう。
少なくとも、コンビニ弁当や宅配など、外食・中食に頼るのであれば、安全安心の点で言えばカップ麺は見劣りしません。
もちろん、最も安心できるのは自炊ですが。
カップ麺の上手な使い方
カップ麺は身体にいいとは言えませんが、ときどき食べる分には全然構わないでしょう。
また、一日一食カップ麺にしても、他の食事を肉野菜メインにして、脂質と塩分に気をつければ、大丈夫だとも言えます。
一番上手なカップ麺の使い方は、やはり毎日ではなく、忙しいとき、ちょっとサボりたいときに食べるのがよいと思います。
また、そのときには、スープはあまり飲まない方がいいでしょう。