人間誰だって、痛いのはイヤですよね。
そこで、虫歯の治療や手術など、痛いときに使うのが、「麻酔」。
麻酔には、虫歯の治療などでよく使う「局所麻酔」と、外科医が主人公のドラマなどでよくみる「全身麻酔」とがあります。
今回はその全身麻酔について紹介致します。
全身麻酔って?
大きな違いは、意識があるか、ないか、です。
局所麻酔の場合、虫歯の治療を思い出してもらえれば分かるように、意識があります。
何をされているか何となく分かりますし、麻酔の効いている部位の痛みはないものの、他の部位は正常に機能しているため、振動などは感知できます。
全身麻酔の場合、薬で昏睡状態に落とされ、お腹を切られようと内臓を切り貼りされようと、全く意識がありません。
何をされているか全く分からず、麻酔が切れたらいつの間にか手術は終わって、ベッドの上だった、ということになります。
当然、麻酔が効いている間は、痛みも感じません(当然手術部位は切られているわけですから、麻酔が切れてきたら、痛みを感じるようになってきます)。
全身麻酔を行う代表的なものが、ドラマなどでもよく見る、開腹手術、開胸手術です。
その他、頭部や顔部の手術、小児の外科手術などでも全身麻酔をすることが多いです。
全身麻酔ってどうやるの?
その代表的な方法を順番に見ていきましょう。
術前診察
ここで麻酔についての詳しい説明を受けます。
医師からの問診には素直に答えて下さい。
一見関係なさそうなこと(顎関節症気味であるとか、差し歯があるとか)が、実は術中にややこしいことになったり、術後の後遺症になったり、ということもあります。
絶食
場合によっては前日から断食、また術前数時間前からは水も飲まないよう指示されます。
胃の内容物が逆流して気管に詰まることもありますので、必ず守って下さい。
子どもの場合はグズったりするかもしれませんが、術中に急変するかもしれない、と考えたら、泣こうが喚こうが心を鬼にしてダメと言いましょう(困ったら看護師さんに聞いて下さい)。
術前投薬
場合によっては、手術の直前に薬を飲む場合があります。
手術の準備
ここからはオペ室です。
全身麻酔中は、体温、脈拍、血圧、血中酸素濃度などでバイタルを常に監視し、患者を一定の状態に安定させるようこまめに点滴を変えたりします。
そのため、身体の各部に色んなセンサー類を着けます。
術前・術後の動きについては、こちらの動画もご参照下さい。
但し、病院によって細かいルール等が異なります。
あくまで一例としてご覧下さい。
マスク装着
酸素マスクを装着します。
場合によっては、酸素以外に吸入タイプの麻酔を用いて導入麻酔とする場合もあります。
麻酔開始
点滴液に麻酔薬が注入され、数十秒で眠りに落ちます。
気管内挿管
全身麻酔中は自発的呼吸が抑制されてしまうため、この管を通して、酸素や薬剤を強制的に吸入してもらいます。
術中管理
上述のように、手術中は常にバイタルを見ながら、適宜薬剤の量を調整します。
使用する薬剤は、鎮痛剤、鎮静剤、筋弛緩薬、血圧調整剤、心拍数調整剤などです。
手術終了
手術の終わりが見えてくると、だんだん覚醒のための準備に入ります。
注入する麻酔薬の量をだんだん減らしていき、手術終了で投薬終了となります。
抜管
意識が戻ってきたら、声をかけ、覚醒を促します。
また、自発的呼吸ができると確かめられた時点で、気管内に挿管していたチューブを抜きます。
覚醒してきたということは、痛みも戻ってきた、ということです。
手術による痛みは、この時点までは感じることはありませんが、ここからは痛むことになります。
痛む場合は、医師や看護師に遠慮なく伝えましょう。
完全に無痛にはならないものの、鎮痛剤でかなりの痛みを抑えることができます。
これで全身麻酔からは完全に離脱したことになります。
後遺症などについては、また別の記事にてご紹介します。