目から涙が出るのはともかく、膿が出るのは明らかに異常です。
今回は、そんな目から膿が出たときのことです。
目の構造
それを説明するために、目の構造について簡単に触れておきます。
映画などを見ていて感動で涙が出たとき、よく「最近涙腺がゆるくて・・・」などと言いますが、その表現の通り、涙は涙腺で作られて、眼球表面に出てきます。
これは、特に泣いているときだけでなく、まばたきなどによっても微量ずつ涙は分泌されます。
眼球表面に出てきた涙は、目頭にある涙点から出ていき、涙小管(るいしょうかん)を通って涙嚢(るいのう)に溜まります。涙嚢は鼻涙管(びるいかん)を通して鼻に繋がっています。
泣くと、さらさらした鼻水が出てきますが、その原因の一つが、この経路を通って鼻に流れてきた涙です。
目から膿が出る原因
膿というのは、細菌などに感染し炎症が起きた際に排出される、細菌の死骸や白血球の残骸です。
目から膿が出る原因としては、涙嚢に炎症が起きた「涙嚢炎」が考えられます。
涙嚢に細菌等が入り込み、そこで炎症を起こします。
細菌が侵入する経路としては、涙に混じって涙点から、という経路もありますが、鼻の中には常に細菌が棲んでおり、それらが鼻涙管経由で涙嚢に来る経路もあります。
涙嚢で炎症が起きると膿が溜まり、その膿は鼻にも降りますが、膿の量が多かったり、炎症による腫れ等で鼻涙管が狭くなっていたりすると、逆流して涙点から溢れでてきます。
これが目から膿が出る、という症状の現れ方です。
普段に比べ涙の量が多い状態が続く理由には、アレルギーなどの理由の他に、細菌に感染しかかっている、という場合もあります。
もし細菌に感染しかかってる場合、この状態が長く続くと、涙嚢炎に発展しやすい、と言われています。
急性涙嚢炎と慢性涙嚢炎
急性の場合、炎症が急激に進むため、痛みが出るのが特徴です。
一方、慢性の場合、痛みが出ないことも多く、その代わりに日々目やにや、目からの膿に悩まされるケースが多いです。
要注意なのは、急性ではなく慢性の方です。
常に眼球表面に細菌がいる状態となると、結膜、或いはもっとタチが悪い場合には角膜が細菌感染します。
対処法は?
慢性涙嚢炎の場合、治療が難しく、長引く場合もあります。
治療は通常、抗生剤入りの点眼薬を用いますが、あまりに治療に難渋する場合、角膜への感染を防ぐため、外科的治療法(手術)によって治療を急ぐこともあります。
その他の症状
充血がある
白目が充血している場合には、結膜炎と考えられます。
結膜炎にも、感染によるものやアレルギーによるものなど諸原因があり、それぞれに応じて治療法も異なります。
中でも有名なのが「はやり目」と言われている「流行性角結膜炎」です。
プールの季節になると、子どもが感染するケースが多いです。
はやり目については、下記動画もご参照下さい。
感染性の場合、抗菌剤入りの点眼薬で治療することが多く、アレルギー性の場合は抗アレルギー剤入りの点眼薬を用いることが多いです。
腫れがある
まぶたが腫れる場合、虫さされなどの原因を除くと、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)や腫瘍などが考えられます。
麦粒腫とは、まぶたの脂腺や汗腺に細菌等が入り込み炎症を起こす病気です。
腫れだけでなく、痛みや充血も見られることが多いです。
腫瘍は、良性の場合も悪性の場合もあります。
良性は症状の進行が遅く、悪性は早い傾向があります。
まぶたそのものに腫瘍が生じる場合もあれば、涙腺に腫瘍が生じる場合もありますが、多くは良性です。