脳の委縮と聞くと、何が思いつきますか?
突然、脳が委縮しているなんて言われたら、目の前が真っ白になってしまいますよね。
脳は知っての通り、視覚や聴覚などの感覚から、細かい感情や記憶、運動や勉強、生きていくうえで必要な様々な事を司っています。
長年、脳死という脳だけ機能していない状態の場合に、肉体が死んでいなくとも、意識も何も無いこの状態を死と判定して良いかという議論がされてきました。
脳というのは、それだけ生きていくうえで大切なものです。
そんな脳が委縮していると聞かされたら、大抵の人は大きな不安を持つでしょう。
原因は何か、果たして治る事があるのか、今回はこれらの事を調べてみました。
脳が委縮している?原因は?
脳が委縮していると、どのような症状が出てくるのでしょうか。
まず、頻繁な物忘れです。
自室から台所へ来て冷蔵庫を開けて…あれ?何しようとしていたんだっけ?
こんな事、誰にでもありますよね。
しかし脳委縮の場合、今日の朝ご飯を食べたか、お風呂に入ったか、子どもや孫の年齢や顔、性別、様々なことを忘れてしまいます。
あとは性格が変わってしまったり、考える力が欠落してしまったり、という症状も見られます。
脳が委縮する前と、まるで違う人と話しているような感覚になる人も多いでしょう。
さて、その脳の委縮は何が原因で起こるのでしょうか。
加齢
一つの大きな原因は加齢です。
これは正常な老化現象であり、誰にでも起こる事です。
歳を取ると認知症で無くとも、自然と物忘れが酷くなってきますよね。
記憶力も低下しますので、何か新しい事を習おうとしたり、覚えようとすると若い人の倍の時間はかかってしまう、なんてことも珍しくはありません。
もちろん、全ての人がそうなわけでは無く、お年寄りでも勉強をして学校に入り直す人はいますし、インターネットでブログや通販をばりばり行っている人もいますので、一概に高齢だから何も覚えられない、なんてことはまったくありません。
いつまでも何か新しいことに挑戦しようとする気持ちが萎縮を抑えているのかもしれません。
アルツハイマー型認知症
認知症の一つです。
認知症の原因は、脳出血など様々ありますが、アルツハイマーは脳委縮を原因とした認知症と言われています。
正常な老化による脳の委縮とは異なり、病的に委縮していきますので、悪化するに従ってどんどん記憶が欠落していきます。
特徴として、最近の記憶から無くなっていき、昔の記憶は覚えている、というものがあります。
徘徊行動が多くなり、自分の家へ帰る道や家の形も忘れてしまいますので、帰る事ができなくなってしまいます。
徘徊行動で行方不明になると、よく家族は近所を探しますが、人がどのくらい歩けるか、どのくらい歩いたか、なども忘れてしまうため、普通の人が歩く距離としては想像もつかないほど遠くで発見される時も多くあります。
最終的に、運動機能も失われていき、食事介助も必要となり、寝たきりとなります。
このように、普通の生活をおくることも大変困難な病気であり、正常な老化とは大きく異なります。
高齢の方の病気と思われるかもしれませんか、若年性の場合もあり、若い世代でも注意が必要です。
高血圧、糖尿病がリスクと高めると言われていますので、基本的な生活習慣が予防となります。
完治させる方法はありませんが、治療により進行を遅らせる方法ことができますので、まずは医師に相談しましょう。
また本人は気付かないことが多いので、家族がおかしいと思ったら医師に相談することが重要です。
アルコール依存症
アルコールは脳を委縮させることが分かっています。
少量なら健康に良いと言われることもありますが、依存症になると際限なく飲んでしまい、飲まずにはいられなくなってしまいますので、休肝日も設けません。
正確には、設けることができなくなるのです。
優しく穏やかだった人が、アルコール依存症になるととても暴力的になることがよくあります。
もちろん、泥酔状態による性格の変化もありますが、脳が委縮していることによって性格が大きく変わってしまうことも考えられます。
まずはアルコール依存症の治療から入りましょう。
強いストレス
強いストレスは脳の委縮の原因になります。
その為、うつ病で脳が委縮するケースも起こり得るでしょう。
委縮した脳は回復する?
結論から申し上げますと、現代の医学では元に戻る事はありません。
しかし、委縮した範囲や原因にもよりますが、機能を回復させることは可能ですので、医師の指示に従い適切なリハビリや治療を受けましょう。
おかしいとは自分では気付きにくい?家族や友人に指摘されたらまず病院へ
脳の委縮は様々な異常行動が見られますが、自覚症状が無い場合も多く、おかしいと思った家族や友人に指摘されても、馬鹿にされたと思って怒りを覚えてしまうことも多いです。
声を荒げてしまえば、指摘してくれた人もそれ以上は口を出す事はやめようと諦めてしまい、結局はどんどんと進行することになってしまう可能性もあります。
身近な人はあなたのことを一番に考えている、という事を知り、指摘を受けたらまずは病院へ行ってみるのも良いでしょう。