みぞおちといえば、「水月」とも呼ばれる人体の急所の一つです。
そんなみぞおちが、殴られたわけでもないのになんだか苦しい・・・。
これは少し心配になりますね。
では、このような「みぞおちが苦しい、圧迫感がある」場合に考えられる病気にはどんなものがあるでしょうか。
胃の病気
みぞおちにある器官といえば、胃および食道です。
そのため、みぞおちに違和感がある場合に、まず考えやすいのが胃の病気です。
胃潰瘍
耳になじみのある病名かと思います。
仕組みとしては、胃酸によって胃壁がダメージを受けてしまうために、違和感や痛みを感じるようになってしまいます。
原因としてよくあるのが、ストレスや薬(特に鎮痛剤)の副作用により胃壁の防御力が落ちてしまうことです。
また、ピロリ菌が胃内に存在していると、胃潰瘍を発生させやすくすることも分かっており、何度も胃潰瘍になる人は抗生物質でピロリ菌を体内から駆除する療法がとられることもあります。
治療は、内科・消化器内科などで受けることができ、通常は薬の内服によって治ります。
胃潰瘍に関しては、下記動画もご参照ください。
機能性ディスペプシア
比較的新しい概念の病気で、くだいた言い方をすると「はっきりとした原因・病変がない胃の異常」の総称となります。
症状は様々ですが、胃のあたり(みぞおち周辺)の不快感、膨満感、圧迫感、痛みなどがあります。
一応原因として考えられているのが、胃の運動機能の低下、ピロリ菌、ストレス、胃下垂などです。
治療は、内科・消化器内科などで受けられ、薬の内服により様子をみます。
はっきりとした原因が分かりづらいため、途中で薬を変えることもあります。
なお、胃潰瘍にせよ機能性ディスペプシアにせよ、黒いタール便が出る場合には、消化管内の出血が疑われますので、早急に病院を受診して下さい。
胃幽門狭窄症(い ゆうもん きょうさくしょう)
幽門というのは、胃の出口のことです。
そこが狭くなる(狭窄)ため、胃の内容物がなかなか腸に送られず、胃に負担がかかってしまう病気です。
症状としては胃のあたり(みぞおち周辺)の不快感やゲップが多いです。
ひどくなると(或いは食べる速度が速かったり量が多かったりすると)、嘔吐してしまいますが、いったん胃の内容物を吐いてしまえば楽になるのもこの病気の特徴です。
原因は、胃の運動障害や、炎症や腫瘍により幽門が狭くなってしまうことです。
治療は、内科・消化器内科などで受けられ、保存的療法(症状を抑えながら身体の自己回復能力で回復するのを待つ)が多いです。
但し、検査により腫瘍が見つかった場合など、手術になることもありえますので、まずは受診をオススメします。
心臓病
心臓病になると、心臓のあたりに直接痛みや違和感が出る以外に、「放散痛」と呼ばれる周辺部位の痛みが生じることがあります。
その放散痛がよく生じる場所の一つにみぞおちがあり、特にみぞおちの放散痛が見られる病気が「心筋梗塞」と「狭心症」です。
心筋梗塞
心筋梗塞とは、心臓を動かす筋肉の血管が詰まってしまう病気です。
非常に危険な病気です。
放散痛だけだとなかなか分かりにくいですが、通常は胸の心臓のあたりにも違和感や痛みが生じます。
受診は、循環器内科、内科などを早急に受診するのがよいでしょう。
狭心症
狭心症は、心臓を動かす筋肉に充分な血液が行かないため、心臓の動きが悪くなり、心臓が締め付けられたような痛みを感じることが多いです。
心筋に充分な血液が行かない主因の一つに動脈硬化があり、その動脈硬化は、高脂血症、糖尿病、高血圧症などにより引き起こされます。
そのため、狭心症は単体で発症するだけでなく、基礎疾患から進行して発症することも多いです。
受診は内科や循環器内科がよいですが、それよりも毎年の健診で心電図をとることが大事でしょう。
最初の二つの病気(胃潰瘍、機能性ディスペプシア)はストレスの影響により発症しやすい病気です。
「休養も仕事の内」と考えて、心を休ませたいものです。