人間、色んなところが痛くなるものです。
特に関節は「関節痛」という言葉があるくらい痛みやすい場所ですが、今回は関節ではない、「手のひら」の痛みについてです。
手のひらの真ん中の辺りが痛い
病気別に考えられそうなものを挙げました。
順に見てきましょう。
ガングリオン
ガングリオンとは、関節包の変形により、関節の周辺に腫瘤ができる病気のことです。
手以外にできることもありますが、多くは手首の周辺にできます。
痛みがない場合も多く、この場合、治療は必要ありません。
痛みがある場合、腫瘤内の液体を吸引して腫瘤を小さくしたり、手術で除去したりします。
下記動画もご参照下さい。
弾発指(だんばつし)
俗に「ばね指」と呼ばれます。
腱鞘炎の一種で、指の酷使などにより、指の腱や腱鞘(腱を包む組織)が腫れることによって痛みが生じます。
痛みの好発部位は、親指、中指、薬指の付け根ですが、他の指でも酷使などにより起こりえます。
原因は上述している指の酷使の他、透析・糖尿病なども一因となります。
「ばね指」という俗称は、指が曲げにくくなり、曲げても指が元に戻ろうとする様がバネのようだからそう呼ばれるようです。
治療は、発症部位を使わないようにして様子を見る保存療法、ステロイドなどを発症部位に注射して炎症を抑える薬剤療法、腱鞘の一部を切ってしまう手術療法などがあります。
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
手根管というのは、手首にある、神経が通る管のことです。
手の酷使などにより、この手根管で正中神経が圧迫されることにより、掌~正中神経系である親指・人差し指・中指にかけて痺れや痛みが生じます。
特徴的なのは、明け方に症状が強くなること、また手を振ると症状が一時的に楽になることが多い点です。
その他、手根管のある辺りをトントン叩いたり、手首を内側に曲げたりすると痺れが増強することが多々あります。
病理は未だ解明されていない部分も多く、妊娠や閉経などによっても発症することがあり、発症率も女性の方が多くなっています。
治療は、保存療法を中心としながら、服薬、或いはどうしても強い痺れや痛みがある場合には手術も可能です。
親指や人差し指は日常生活において、五指の中でも最も使う頻度の高い指ですが、手根管症候群を放っておくと、これらの指が上手く動かなくなってくる場合もあります。
そうなると、日常生活でも不便をきたしてくるようになるため、放置せずに、時間を作って受診しましょう。
手のひらの外側(小指の下の辺り)が痛い
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
肘部管というのは、文字通り肘の辺りにある、尺骨神経が通っている管のことです。
その「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」が圧迫されることにより、手首から小指や薬指にかけて痺れや痛みが生じます。
よく起こるのは、やはり手の酷使をしている方です。
他にもスポーツによる障害、加齢に伴う肘関節の変形などによっても起きます。
放っておくと、掌の外側が痩せてきて、小指や薬指が拘縮(曲がった形に変形)してくる場合もあるので、時間のとれるときに受診しましょう。
治療方法は、服薬などの保存療法が第一選択肢ですが、症状が進行している場合や保存療法で改善されない場合などには、手術を行う場合もあります。
手術は、いくつかの様式がありますが、考え方としては、「圧迫されている肘部管の辺りを切開して、神経の圧迫を解除してやる」手術となります。
以上、掌の痛みについて、いくつかの病気を列挙して見てきました。
いずれも命に関わるような重大なものではありませんが、放置しておくと日常生活に影響のあるものもあります。
受診はいずれも、整形外科などで大丈夫です。
保存療法は時間のかかる場合もあり、進行すれば手術の確率も高くなってきます。
痛みが続くな、と気になったら、2週間以内くらいを目安に受診するとよいでしょう。