ん?
今、一瞬視界が暗くなったような・・・
停電かな?
…そんな経験はないでしょうか。
もしこんな現象が最近よく起きているようなら、早く眼科に行くことをオススメします。
視界が暗くなる理由(ワケ)
視界が暗くなるのも、冒頭のように停電と間違うような一瞬の場合もあれば、明らかに異常を感じさせるような数分~数十分もの時間の場合もあります。
視界というのは、外からの光が眼から入ってきて、眼球奥の網膜で受像し、視神経を通して脳で処理されます。
(※眼の構造については、下記動画で簡単に紹介されています。)
視界が暗くなるというのは、この経路のどこかに異常が生じるためです。
- 外からの光の場合
冗談のようですが、停電でなくとも、急に電圧が一瞬下がった場合などでも、起こりえます。
まずは周りの人にそれとなく聞いてみましょう。
周りの人がいない場合でも、日本では電力も電圧も安定して供給されていますので、上記のような現象はそう頻繁に起こるものではありません。
頻繁に起こるようならやはり眼科を受診しましょう。
- 眼・網膜の異常
視界が暗くなる病気と言えば緑内障が有名ですが、この病気は徐々に進行するため、「突然視界が暗くなった」というような症状の場合は緑内障以外を考える必要があります。
「一過性黒内障」や、「網膜動脈閉塞症」などが考えられます。
- 視神経・脳の異常
視神経に異常が生じる病気を総称して「視神経症」といいますが、視界の一部(視界の真ん中や下半分など)が欠ける症状が多くみられる一方、「突然暗くなる」といった症状はあまりありません。
脳の異常の場合、脳梗塞などにより、視覚野などの視力を司る部位に血流が届かなくなることにより視界が暗転することは考えられますが、臨床例としては、「視界がぼやける」「視界の一部(左右どちらかなど)が欠ける」といった症状が多いです。
また、「一瞬暗くなってすぐ回復する」というのもあまり考えにくいでしょう。
具体的な病気として考えられるのは
以上により、「突然視界が暗くなって、すぐ、或いはしばらくして回復する」という症状の場合に考えられる病気の具体例として、以下の二つを挙げておきます。
一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)
この病気は、血管が詰まることにより網膜に血液が届かなくなって、視界が暗くなります。
血管が詰まる理由としては、心筋梗塞や脳梗塞と同じく、「血栓ができる」或いは「どこかでできた血栓が血流に乗ってやってくる」ためです。
「一過性」とあるように、この病気は詰まってしまっても、数秒~数分で血栓や塞栓が壊れて、視力が回復します。
但し、完治したわけではなく、再発する可能性が高いため、早めに受診した方がよいでしょう。
何よりも、身体が血栓のできやすい状態にあるため、一歩間違えれば心筋梗塞や脳梗塞となり、命にも関わってきます。
受診は、まずは眼科に行き、診断を受けましょう。
根治のためには、内科で引き続き治療を受ける場合が多いでしょう。
網膜動脈閉塞症
病気のメカニズムは、一過性黒内障とほぼ同じです。
一過性黒内障が進行して発症する場合もあれば、自覚症状なく突然発症する場合もあります。
閉塞が起きる網膜動脈の場所によって症状の現れ方は異なり、視界の一部のみが欠損する場合もあります。
いずれにせよ、この病気は動脈硬化との関連性が高いため、最終的には内科的治療を要します。
視界が奪われる時間は、一過性黒内障に比べると長いです。
網膜動脈が詰まってから、数十分~1時間ほど経過してしまうと回復が難しくなってしまうため、早めの受診が重要となります。
受診は、まずは眼科に行きましょう。
めまいや吐き気を併発する場合
停電と間違えるような感覚ではありませんが、「視界がスーっと暗くなる」症状と共に、めまいや吐き気がある場合には、立ちくらみなどの脳貧血、低血圧、低血糖などが疑われます。
また、過労や強いストレスなどによる自律神経系の異常で起こることもあります。
受診科は、一概に何科とは言いにくいですが、信頼できるかかりつけ医が居るなら、そこが第一選択肢です。
居なければ、最も強い症状によって選ぶとよいでしょう。
視界が暗くなるのが最も強いようなら眼科、めまいが最も強いようなら耳鼻科、吐き気が最も強いようなら内科・心療内科、といったようにです。
また、視界の一部が欠けていて、且つ、めまいや吐き気のある場合、脳腫瘍や脳梗塞が疑われます。
これもまた停電のような感覚とは異なりますが、もしこのような症状が現れた際には早急に受診しましょう。