耳かきって気持ちいいですよね。
あなたは綿棒派ですか?竹べら派ですか?
最近では科学技術を用いた「ハイテク耳かき」なんかも売っていますね。
ところが、やり過ぎると痛い目に遭うことも・・・。
耳かきをすると痛い理由
耳の穴の中は、皮膚が柔らかく、普通の腕や脚の皮膚に比べ傷つきやすくなっています。
更に、その柔らかい皮膚の下にはすぐ神経や細かい骨などがあり、ちょっとした傷が思わぬ大ダメージになることもあります。
耳かきが気持ちいいからと、ゴシゴシゴリゴリ耳かきをしていると、こういうことになってしまいがちです。
耳かきが痛くなる病気?
通常は、上述したようなメカニズムで、いわば「耳の穴の中を怪我した」という状態になります。
この場合は、普通の怪我と同じで、怪我が治るまでは傷口に触れると痛みを感じることがありますが、怪我が治ってしまえば、もう痛くありません。
よほど深く傷つけない限り、病院へ行く必要もありません。
しかし、場合によっては耳鼻科を受診した方がよいケースもあります。
ケース別に見ていきましょう。
外傷性鼓膜穿孔(がいしょうせい-こまく-せんこう)
なんだか恐ろしげな病名ですが、要は耳かきで鼓膜を破いてしまった、などの鼓膜損傷です。
子どもや他人が、耳かきをしているときにぶつかってきた、或いは自分が耳かきをしながら動いたときに、はずみで鼓膜を損傷してしまうことが多いようです。
耳かきをするときには、くれぐれも、周囲が落ち着いているときに、自身もしっかり落ち着いた姿勢で行って下さい。
治療は、ちょっと鼓膜に小さな孔が空いた、もしくは鼓膜が剥がれかけた、などの軽度のものであれば自然治癒を待ちます。
しかし、重度の場合には手術で再び鼓膜を再建する必要があります。
症状としては、難聴・耳鳴り・耳閉感などが主で、場合によっては耳垂れが出ます。
出血は耳内で起きていますが、微量のため自覚症状としてはあまりみられません。
逆に、耳からの出血がはっきり分かる場合は、鼓膜以外の外耳・中耳に傷がいっている可能性が高いです。
外耳道炎(がいじどうえん)
外耳とは、耳たぶから鼓膜までのことを言います。
要するに、耳かきで掃除する範囲のことですね。
耳かきでゴシゴシゴリゴリやっていて、耳が傷つき、ここにバイ菌が入って炎症が起きる・・・というのが外耳炎の一つの典型例です。
特に固い竹べらなどでは、少し力加減を間違えると、すぐに傷ついてしまいやすいですので、ご注意下さい。
治療としては、通常は抗生物質を用います。
軽度であれば、1~2日で自然治癒することもありますが、3日以上続くようであれば受診をオススメします。
症状は、激しい痛み・かゆみ・耳垂れが主として現れます。
頻度はやや低くなりますが、難聴や耳鳴りなどを感じる方もいます。
外耳道炎は、通常の細菌であれば自然治癒ないし抗生物質による治療で治りますが、そこに真菌が繁殖してしまった場合には、症状・治療ともに厄介なものになってしまいます。
軽視せずに、症状がひどい場合や3日以上続く場合には受診するようにしましょう。
耳垢栓塞(じこう-せんそく)
耳垢とは訓読みすればそのまま、「耳アカ」のことです。
多量の耳垢によって、耳が詰まってしまった状態のことを言います。
このように書くと、「やっぱり耳掃除はマメにしないといけないなぁ」と思われるかもしれません。
ところが、この耳垢栓塞、「耳掃除のしすぎ」のせいで起こることも多々あります。
「ええ!?耳掃除のせいで耳垢がつまるって・・どういうこと??」
混乱された方もいらっしゃるでしょうから、説明します。
この現象は、綿棒特有のものとされています。
綿棒を耳の中に「突っ込んで、出して、突っ込んで、出して」という方法でゴシゴシしていると、手前の耳垢は外に掻き出されますが、奥の耳垢は奥へ奥へと突っ込まれていきます。
これを、何回も何回も毎日のように繰り返していると、耳の奥の方で耳垢がどんどん溜まっていって、ついに耳の穴をふさぐような巨大耳垢になってしまうのです・・・。
恐ろしい話ですね。
よほどの大きさにならない限り、自覚症状はでません。
お風呂に入ったり、水泳をしたりすると、耳垢が水分を吸収して肥大化しますので、症状を感じやすくなります。
お風呂に入るたびに以下のような症状がある場合には、耳鼻科を受診してみて下さい。
症状として出るのは、耳閉感、聞こえづらい、など軽度のものです。
稀に、耳の異物感や痛みを感じる方もおられます。
治療は、専用の器具を用いて巨大耳垢を除去するだけです。
そもそも耳かきは要らない!?
耳の皮膚は、新陳代謝の影響を受けて、内側から外側に向けて細胞増殖しています。
つまり、非常にゆっくりとしたペースではあるものの、耳垢は自然と外側に排出されるようになっているのです。
また、耳垢には普通の皮膚と同じく「常在菌」と呼ばれる数々の菌が存在しており、それらによって「悪い細菌」が増殖しづらい環境をつくっています。
個人の体質により、ときどき耳掃除をした方がいい場合もありますが、基本的には耳掃除をしなくても問題になることはほとんどありません。
多くても週に1回程度に抑えておくことをオススメします。