韓国で中東呼吸器症候群(MERS)の感染が拡大しています。
6月5日時点で死者4人、感染者は死者を含めた41人となりました。
現段階で3次感染まで確認されており、今後も感染者は増えるだろうという見通しです。
日本へもウイルスが入ってこないか心配ですよね。
MERSについて、調べてみました。
MERSってどんなウイルス?
MERSは、2012年にサウジアラビアで初めて確認されたウイルス性の感染症です。
10年ほど前にアジアを中心に700人を超える死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS/サーズ)と同様、感染症の原因はコロナウイルスの仲間ということです。
その名の通り、中東地域での患者が多く報告されていることから「中東呼吸器症候群」という名がつき、感染源の一つはヒトコブラクダとされています。
6月2日までにアフリカやヨーロッパ、アジア諸国など計25カ国で1154人の感染者が報告され、そのうち少なくとも431人の死亡が確認されています。
そして、MERSの致死率は40%という高さです。
なぜ韓国で感染が広がっているの?日本はどうなる?
今年の4~5月に中東数カ国を訪れた男性が韓国に帰国した後、5月20日にMERSの感染が確認されて以来、病院での隔離が不十分だったために病棟内の患者にも感染し、最初の患者と接点のなかった男性への3次感染まで拡大したとされています。
今後日本へのウイルス上陸も懸念されるところですが、現在厚生労働省は、韓国や中東地域に滞在した人で帰国後38度を超える熱やせきなどの症状が出たり、感染が疑わしい人は直ちに保健所に届け出るよう求めています。
MERSに対する予防法や治療法は?治る病気なの?
残念ながら、現在MERSに対するワクチンや有効な治療法は見つかっていません。
それぞれの患者の症状に応じて対症療法を施すにとどまっています。
厚生労働省の報告によると、MERSに感染すると、発熱やせき、息切れなどの症状が起こり、下痢などの症状を伴う場合もあるようです。
MERSに感染しても症状が現れない人や、軽症で済む場合もありますが、高齢者や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人が重症化する傾向にあります。
MERSの予防・対策はどうすればいい?マスクで予防することはできる?
韓国では病院内で患者から医療従事者などに二次感染、三次感染したことが報告されていますが、人から人への感染はそうした医療機関の中や家族などに限定されていて、感染力は強くないと報じられています。
そうとはいえども感染する可能性はもちろんありますので、今後中東地域や韓国へ旅行にいく方は、十分注意してください。
マスクだけでは十分な予防とはいえません。
手洗いやうがいをしっかり行い、加熱が不十分な料理を避けること、果物や野菜はよく洗ってから食べるといった、一般的な衛生対策を徹底することが必要です。
咳やくしゃみの症状がある人や、動物(ラクダを含む)との接触は可能な限り避けたほうがよいでしょう。
爆発的に人から人へ感染することはないウイルスとはいえ、不安になりますよね。
韓国でも街行く人はほぼマスクを着用し、マスクや石鹸などの売り上げが急増しているそうです。
とにかく、できることはやっておいて損はありません。
事態の沈静化を見守りましょう。